指先を包むぬくもりに、ゾロは目を覚ました。
いつしか、頭から外れた手は
万歳をした格好のまま大きく広げられていた。
その左手の人差し指を握っている、白いやわらかな感触。
それがたしぎの手だと気づくのに、しばし時間が必要だった。
ゾロの眠気は一気に吹き飛んだ。
なにしてるんだ?
目を開けて、天井を見つめたまま、じっと動けない。
こいつ、寝てるのか?
急に覚えた喉の渇きとともに、身体をゆっくりと反転させた。
四つん這いになってたしぎの様子を伺う。
目を閉じ、微笑んでいるように見えた。
楽しい夢でも見ているのだろうか。
いぶかしながら、ゾロはもっとよくたしぎの顔を見ようと
顔を近づける。
たしぎの甘い身体の香りが、ゾロを刺激する。
浴衣の襟元から浮かび上がるような白い胸元に、視線が吸い寄せられる。
「・・・・ロロノア?」
突然のたしぎの声に、心臓が止まる程驚いた。
ゾロの指を握っているたしぎの右手を掴み直すと、
横を向いていたたしぎを起こすように仰向けにした。
上からゾロが被さるような格好になる。
「お前、起きてたのかよ!」
少し怒ったような口調で、自分の動揺をゾロはごまかそうとしていた。
たしぎは、いきなりゾロの顔が目の前にあるのことに
驚きながらも、頷く。
「・・・目を開けたら、ロロノアの手が・・・・
見てたら触りたくなっちゃって・・・」
自分で言っているうちに、照れくさくなったのか、
たしぎは、ふにゃりとくだけた笑顔を見せる。
ぐらりと頭が仰け反る。
ゾロは軽くめまいを感じた。
なんてヤツだ。
触りたいなんて、言うか?普通。
迂闊に手を出せば、強烈な反撃をくらう。
完全にノックアウトされた気分だ。
ゾロは観念して、逃れられない喜びに浸る決意をする。
のそりと、たしぎの身体を跨ぐと両手を押さえたまま
たしぎを見下ろす。
「好きなだけ、触っていいぞ。」
オレも、触るけどな。
ゾロの上がる口角を意味するものに
気づいた時には、たしぎの唇はゾロの唇で塞がれていた。
ようやく唇が開放されたかと思った途端、
ゾロの膝がたしぎの足の間を割り、入ってくる。
「ちょっ・・・ロ、ロロノ・・・ア!」
首筋を這うゾロの舌先に、ゾクッと身体を震わせながら
たしぎは必死に抗議の声をあげた。
「やっ!」
「しーっ!」
たしぎを黙らせながらも
ゾロの愛撫は止まる気配はない。
首筋に痕をつけながら、たしぎの浴衣の胸元をおおきくはだけさせ
胸を舐り尽くす。
すでに固くなってその存在を主張している二つの突起を
口に含むと、ゾロは軽く歯をたてた。
「あっ!」
たしぎの身体が、跳ね上がるように反り返る。
「声、聞こえちまうぞ。」
そう言うゾロの息も熱く湿り気を帯びている。
暗い部屋にひときわ白く浮かび上がるたしぎの乳房は、
ゾロの掌の中でやわらかく形を変えていく。
「だって・・・だめ・・・」
眉を寄せて訴えるたしぎの耳元に
ゾロの声が響く。
「お前が、先に触ったんだぞ。」
そんな!
子供のような言い様に反論する暇を与えず、ゾロの手が太ももに伸びる。
節くれだった指先がこじ開けるように
たしぎの下腹部の繁みを掻き分けて侵入してくる。
「だっ・・・だめぇ・・・」
たしぎの声の鋭さは消え、甘くゾロの耳にまとわりつく。
濡れた音を立て、深く入れられた指は、
たしぎが感じるところを知っているかのように的確に刺激する。
びくびくと身体を震わせながら、夢中でゾロにしがみつく。
戸惑いと快感の波に翻弄されながら
たしぎは、どうしていいかわからなくなる。
「ん・・・ふぅ・・・っ!」
いくら呼吸を止めても
もれる吐息は、嬌声を含んでしまう。
「こ、声・・・出ちゃう・・・」
降参とばかりに、濡れた瞳で見つめるたしぎを
もっと困らせてやりたくなるのは、どうしてだろう。
ゾロは、そんなことを思いながら、
たしぎの太腿に手をかける。
「かまやしねぇ。」
ぐいと、たしぎの脚を大きく開かせると
もう十分に充血したたしぎの秘所に、ゾロ自身を深く沈めた。
「ああんっ!!!」
ゾロの動きに合わせるように
洩れる嬌声は、たしぎには止めようがなかった。
不意に、たしぎの腕がゾロの首に絡みつく。
「ロ、ロロノア・・・」
熱にうかされたような上ずった声に、
ゾロはぞくりと全身を震わせた。
あぁ、これだから・・・
ずっと聞きたかったその響きに酔いながら、
たしぎの項に手をかけると
ぴたりと隙間を埋め尽くすように唇を重ね合わせる。
その淫らな声が、洩れないように。
湿った吐息と身体が擦れあう気配が、二人のいる部屋を満たした。
<続>